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シュンラン(ラン科)[春蘭] |
名は、寒蘭に対比して春に咲くので春蘭といったもの。また、漢名を音読みしたものとも。中国産のものはかつては別種とされていたが現在は同種とされる。唇弁に斑点がたくさんあることから、別名ホクロともよばれる。 洋蘭のような派手さはないが、姿形が渋く純日本的であるためか、日本画の格好の題材とされる。また、変異が極めて多いため、ランといえば目の色を変える一部の好事家は、それを夢中になって収集する。以前は林の中に入れば容易に見つけることができたが、盗掘や開発のためとんとお目にかかることがなくなってしまった。蕾は秋に準備ができていて、春真っ先に開花する。花にはほのかな香りがあり、塩漬けにして保存し、慶事に蘭茶としてふるまう。また、昔は根茎を煮たり焼いたりして出る粘液をひび、あかぎれの特効薬とした。 明るく乾燥した樹林内に生える地生の多年草。球茎は節間が短縮し、葉を束生する。 葉は濃緑色で叢生し、スゲやヤブランに似る。常緑で硬く、長さ20-35cm、幅0.6-1cmの線形で湾曲して垂れ、縁に微鋸歯があってざらつき、先はとがり基部は鞘となる。 花茎は肉質で太く、高さ10-25cm、数個の膜質の鞘状葉に包まれ、緑黄色で直径4-7cmの花をふつう1個、まれに2個横向きにつける。苞は鞘がなく長さ3-4cmの披針形で鋭頭。萼片3個は開出し、長さ3-3.5cm、幅0.7-1cmの披針形で鈍頭。側花弁2個も平開し、萼片と同形でやや短い。唇弁は蕊柱の基部にあり、萼片より少し短く、白色に濃赤紫色の斑点があり、先は舌状で反曲し、中央付近に小型の側裂片がある。距はない。また、中央内面に乳頭状突起を密生する。蕊柱は長さ1.5cm、先端に2室の白色の葯があり蠟質で黄色の花粉塊を入れる。 果実は長さ5cmほどの長楕円形の蒴果で、開花時に前年の果実がよく残っている。熟すと縦に裂開して微小な種子が風によって散る。 高知県東部と徳島県に分布するホソバシュンランは葉の幅が狭く、4-6mmのもの。 花のないときには葉がヤブランとそっくりだが、ヤブランの葉の縁はざらつかないので区別できる。 ![]() ![]() ![]() ![]() |
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