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クチナシ(アカネ科)[口無・山梔子・梔子・巵子] |
名の由来は諸説あるが、「口無し」の意で、果実が熟しても口を開かないことからついたというものが通説。果実の角状残存萼片が嘴に似ていることから、「クチがついたナシの実」という意味だとする説もある。別名センプクというのは「潜伏」の意で果実が「口を割らない」ことから。種小名のjasminoidesはジャスミンに似た香りの意。「巵」は酒などを貯蔵する容器のことで果実の形が似ていることから。 庭木や生垣などとして広く植栽されるほか、果実はクロシンという黄色色素を含むので食品の着色にも使われる。漢方では完熟した果実を乾燥したものを山梔子(さんしし)とよび、消炎、止血、利尿、鎮静などへの薬用として利用される。打ち身に対する民間療法で、果実をすりつぶしたものを酢とうどん粉で練って冷湿布する。花は質が厚く、煮るとぬめりが出るので、酢と醤油を加えて食べる。 暖地の常緑樹林の林縁などに生え、下部でよく分枝して叢生し、高さ1.5-3mになる常緑低木。若枝は緑色で垢状の毛が密生して円柱状。樹皮は灰緑色~灰褐色。冬芽は披針形で鋭くとがる。 葉は対生または3輪生し、長さ5-12cm、幅2.5-5cmの倒披針形~長楕円形。全縁で裏面に反り、基部はくさび形で先はとがる。革質で両面とも無毛、表面は側脈が平行に並び濃緑色で光沢があり、裏面は淡黄緑色。葉柄はごく短く長さ0-5mm。基部に4個が円筒状に合生した托葉があって枝を包む。 枝先の葉腋に強い芳香のある白色の花が1個ずつつく。花柄は長さ2-7mm。萼筒は長さ1.1-1.2cmの倒円錐形、裂片は長さ1-2cmの広線形。花冠は筒部が長さ2-2.5cmの高坏形で先は5-7裂(ふつう6裂)して裂片は長さ約3.5cmの広倒披針形、平開して直径5-7cmになる。蕾のときは覆瓦状に並び全体がねじれる。雄しべは花冠裂片と同数で、花糸は短く葯は長さ1.5cmの線形。花柱は長さ3.5-4cmの棍棒状。花が盛りを過ぎると純白だった花冠は淡黄色に変化してしおれる。 果実は肉質で長さ2-3cmの倒卵形~長楕円形の液果。5-7稜があり、先端に細い角状の萼片が残存する。11-12月に黄赤色に熟すが裂開しない。種子は多数、長さ4-5mmの扁平な卵形で表面に網目模様がある。 八重咲きのものをヤエクチナシといい、葉はクチナシより円みがある。園芸品種で造園で主に使われるオオヤエクチナシ(YListではヤエクチナシのシノニムとしている。)は、大輪でヤエクチナシよりさらに葉に円みがあり、長卵形~楕円形。果実は実らない。中国原産のコクチナシは高さ50cmほどで葉は長さ3-8cmの倒披針形、花はクチナシより小さく、直径3-4cm。一重と八重がある。マルバクチナシは葉が小さく、長さ2.5-4cmの倒卵形で円頭、花も小さく、直径約3cm。小笠原に分布するオガサワラクチナシは葉がクチナシより厚みがある。 ![]() ![]() ![]() ![]() |
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