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クロモジ(クスノキ科)[黒文字] |
名は樹皮の黒い斑点を文字に見立てたもの。なお、室町時代頃、宮中の女房たちは衣食住に関することばを直接口に出すのをはばかり、しゃもじ(杓子)、かもじ(髪の毛)などと「もじ」をつけてよんでいたが、クロモジも「黒楊枝」に「もじ」を付け加えたことに由来するという説がある。 山地の落葉樹林下に生え、株立ち樹形で高さ2-6m、直径10cmになる雌雄異株の落葉低木。樹皮は灰褐色で滑らか、円い皮目がある。若枝は黄緑色~暗緑色で黒い斑点が多い。葉芽は紡錘形で花芽はほぼ球形。 葉は枝先に集まって互生し、長さ5-10cm、幅1.5-3.5cmの狭楕円形で全縁、先は鈍くとがり基部はくさび形。表面は無毛、裏面は帯白色で初め絹毛があるが後に無毛となる。側脈は4-6対、葉裏の脈は隆起しない。葉柄は赤みを帯び、長さ0.8-2cm。秋には黄葉する。 葉の展開と同時に小枝の節に散形花序を出し、やや透き通った淡黄緑色の小さな花を多数つける。花柄には絹毛が生える。花被片はふつう6個で花後に脱落する。雄花の花被片は長さ約3mmの楕円形、雄しべは9個。雌花の花被片は雄花の花被片よりやや小さく、仮雄しべが9個と6個の腺体に囲まれた雌しべが1個ある。白色の柱頭が目立つ。 果実は直径5-6mmの球形の液果で、初め緑色、後に茶色、9-10月に黒く熟す。中の種子は球形で1個あり、褐色で基部は白色。 枝を折ったり葉をちぎると爽やかな芳香があるので、樹皮がついたまま削って高級な楊枝として利用される。枝葉は浴湯料にするほか、枝葉や種子から採れるクロモジ油は芳香料に用いる。根皮を干したものは釣樟(ちょうしょう)といい、皮膚病(インキンタムシ)に用いる。 オオバクロモジは、全体に大きく、葉が長さ8-13cmになるものであるが、分布域が重なる地域では中間的なものがあって区別の難しいことがある。 また、クロモジ属の中で葉の展開と同時に花をつけるものに、ヒメクロモジ、ケクロモジ、ウスゲクロモジ、カナクギノキ(高木)などがあり、それぞれの特徴をよくとらえていないと区別は難しい。 ![]() ![]() ![]() ![]() |
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