![]() |
キツネノカミソリ(ヒガンバナ科)[狐の剃刀] |
ヒガンバナと同じ仲間で、春に伸びる白みを帯びた細長い葉を、狐が使うかみそりに見立てててこの名がついた。北限は青森県で、北海道を分布域に入れている図鑑もあるが、見かけるものは逸出したもので自生はないという。 山野の湿った林縁などに生える多年草。鱗茎は直径2-4cmの広卵形で外皮は黒褐色。 葉は根生し、春に出て長さ30-40cm、幅0.8-1.2cmの白緑色の帯状で先は円く、初夏に枯れそのあとに高さ30-60cmの花茎を数日で伸ばし、3-5個の花を散形状につける。花茎は赤褐色を帯びることが多い。 総苞片は2個で長さ2-4cmの披針形。花柄は長さ2-6cm。花は黄赤~橙赤色、花被片は長さ5-8cm、幅0.8-1cmの狭倒披針形で斜開してほとんど反り返らず、筒部は長さ1-1.5cm。雄しべは6個で花被片と同長かやや短く、葯は花糸に丁字状につき、長楕円形で淡黄色。子房は3室、花柱は糸状で長い。 果実は直径約1.5cmの扁球形の蒴果。ヒガンバナやナツズイセンは結実しないが、キツネノカミソリはよく結実する。種子は直径5-7mmの球形で黒色。 ヒガンバナはキツネノカミソリと同じく夏前に葉が枯れ、花時には葉がないが、葉の展開する時期が異なり、晩秋に葉を伸ばして葉が越冬する。また、キツネノカミソリはお盆の頃に咲くのに対し、ヒガンバナはお彼岸の頃に咲く。 この仲間はどれも鱗茎に有毒なリコリンなどを含み、誤って飲食すると嘔吐、腹痛、下痢を起こす。一方で良質のデンプンを含み、古くから無毒化して食用にされ、薬としても使われてきた。 関東地方南部以西に分布するオオキツネノカミソリは、葉が幅広く1-1.5cmになり、関東地方では7月初旬~中旬に開花する。キツネノカミソリよりも1か月近くも早く咲き、キツネノカミソリが開花するときにはすでに花はない。花被片は長さ7-9cmで明らかに反り返り、雄しべは花被片より長く、花外に突き出る。 九州に分布するムジナノカミソリは、花期は7月、花被片は長さ5-6cmで反り返り、雄しべは花被片より長い。 ![]() ![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
オオキツネノカミソリに戻る ナツズイセンに戻る |
検索サイトからこのページへ直接お越しの場合は、 トップページへお回りいただきフレームを表示させてください。 |