イラクサ

イラクサ(イラクサ科)[刺草・蕁麻]

刺のことを古語で「いら」といい、茎や葉面、葉柄に刺毛があるのでこの名がある。刺毛にギ酸を含み、誤って皮膚に触れると激痛が走る。なお、この刺激成分についての全容はまだ解明されていないようだ。

山地のやや湿った林縁や道端などに生え、高さ40-80cmになる雌雄同株の多年草。茎は4角形で、葉とともに刺激成分をもつ刺毛が多い。
葉は対生し、長さ5-15cm、幅4-10cmの広卵形で縁に欠刻状の鋸歯があり、しばしば重鋸歯になり、基部は心形で先はとがる。両面に細点が多く、表面に伏毛がまばらにあり、裏面脈上に短毛がある。葉柄は葉身とほぼ同長。葉柄の基部に1対の托葉があり、2個が合着して長さ7-8mmの長楕円形になり、先が2裂することがある。各節に2個ずつつく。
花序は穂状で雌花序は茎頂部に、雄花序は下方の葉腋につく。雄花の花被片は4個で淡緑色。雄しべは4個。雌花の花被片は小型で4個あり、内側の2片が花後に大きくなって果実を被う。子房は1室、柱頭は1個で短い毛筆状。
果実は長さ約1mmの扁平な卵形の痩果で緑色。

全草を乾燥したものを蕁麻(じんま)といい、煎じてひきつけやリウマチに用いる。葉の汁はヘビにかまれたときの止痛、毒消しに用いるという。茎皮の繊維から糸を採り、織物(刺草織)の原料にする。若芽は山菜としてお浸しや和え物などにされる。
深山に生え、山菜として有名なミヤマイラクサは別属のムカゴイラクサ属で葉が互生して大きく、長さ8-20cm。
花期:9-10月
分布:本(福島県以南)・四・九
撮影:2017.10.12 神奈川県三浦市
イラクサの茎の刺毛
茎や葉に刺激成分を含む刺があり、誤って触れるとしばらく苦しむ。 2017.9.29 神奈川県葉山町

イラクサの托葉
托葉は2個が合着して1個になったもの(先が2裂することが多い)が節ごとに2個ずつつく。 2017.9.29 神奈川県葉山町

イラクサの雄花
雄花。花被片、雄しべは4個。 2017.9.29 神奈川県葉山町

イラクサの雌花
茎頂には雌花がつく。 2017.9.29 神奈川県葉山町 

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