ヒイラギナンテン

ヒイラギナンテン(メギ科)[柊南天]

名は、小葉がヒイラギに似ていて複葉の姿がナンテンに似ているからという。実がナンテンに似ているからとも。唐から渡来したということで別名トウナンテンという。アルカロイドを含み、広く民間薬として用いられた。
中国~ヒマラヤ、台湾原産の常緑低木で、江戸時代初期(天和~貞享年間=1681-88年)に渡来したとされる。庭木として庭園、公園に植栽され、鳥が種子を運ぶのか、関東地方以西の人里に近い林内で野生化している。生態系被害防止外来種リスト掲載種。

基部でまばらに分枝して高さ1-1.5mになり、樹皮はコルク質で材は黄色。刺はない。
葉は長さ20-50cm、幅10-15cmの奇数羽状複葉で茎の先に集まって互生する。葉柄基部は鞘状になって茎を抱く。小葉は2-4対あり、厚い革質で濃緑色、両面とも無毛で光沢があり、頂小葉は有柄、側小葉は無柄、長さ5-10cm、幅2.5-4cmの卵状披針形で縁に粗い鋸歯があり、鋸歯の先は硬い針状にとがり、触ると痛い。日当たりのよいところに生えるものは冬に紅褐色に色づくが、落葉せず翌春に元の色に戻る。
茎の先に長さ10-15cmの湾曲して下垂する総状花序を数個出し、直径7mmほどの香りがある黄色の花を多数つける。花は短い柄があり、基部に長卵形の小さな苞がある。萼片は9個、黄色で花弁状。花弁は6個で先は2裂し、基部に2個の腺点がある。雄しべは6個あり、触ると内側に曲がるのは虫に花粉をつけるため。雌しべは1個。
果実は長さ約7mmのほぼ球形~楕円形の液果で、初夏~秋に紫黒色に熟し、白粉をかぶる。種子は少ない。

花期が早い園芸品の植栽が増えているといい、1-2月に開花するようである。ホソバヒイラギナンテンは明治初期に渡来し、小葉は幅1-2cmで2-4対。花は秋に咲く。
花期:3-4月
分布:帰化植物
撮影:2018.3.15 横浜市金沢区
ヒイラギナンテンの花
花は短い柄があり、基部に長卵形の小さな苞がある。 2016.2.1 横浜市中区

ヒイラギナンテンの花-2
萼片は9個、花弁は6個で先は2裂。 2022.3.4 横浜市戸塚区

ヒイラギナンテンの若い果実
若い果実。この後に紫黒色に熟す。 2015.4.24 横浜市戸塚区

ヒイラギナンテンの果実-2
熟した果実は紫黒色だが粉白をまとい、藍色に見える。 2019.5.30 川崎市多摩区

ヒイラギナンテンの樹皮
樹皮はコルク質で刺はない。材は黄色。 2024.1.15 横浜市保土ケ谷区

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